
大腿筋膜張筋、本当に硬い?

「外ももの張り」が気になるんです。
「大転子の出っ張り」が気になるんです。
これ形のお悩みの方は多くいらっしゃいますがまず1番に大腿筋膜張筋のタイトネスを疑いますよね?
とりあえず大腿筋膜張筋が「なぜタイトネスになってしまっているのか」ということも深掘りしていく必要がある
のですが、その前にやるべきことは実際に大腿筋膜張筋がタイトネスなのかどうか?評価することからでしょう。
その際に便利なのがOber’s test(オーバーテスト)となります。
Ober’s testとは、側臥位で下肢の運動機能として一般に「大腿筋膜張筋(Tensor Fasciae Latae: THL)」や「腸脛靱帯(Iliotibial band: ITB)」の硬さを評価するために使用されます。1)
原法は膝関節を屈曲させてテストしますが、伸展させてテストする変法(modified Ober’s test)があり、私は臨床的にTHLかITBで分別するため、よく使用しています。
Oberテストは、テストする側を上にした側臥位でテストします。
詳しいやり方と陽性・陰性の判断については動画で説明していきます!
こちらをどーぞ!
テストする際の姿勢
・患者をテストする側を上にした側臥位とします
・下側の股関節と膝関節を屈曲させ、腰椎の前弯を減らします(骨盤後傾位で固定)
・検者は患者の後方に立ち、上側の骨盤と大転子を固定します
・検者はもう一方の手で、上側の膝関節から遠位の下腿部を保持し、膝関節を屈曲させます
・上側の股関節を伸展、外転させて、空間で保持します
テストの実施
・上側の下肢の支えを減らして、ゆっくりと下方へ下肢を下ろします(股関節内転)
・その際に、上側の股関節が内旋や屈曲しないように骨盤を固定します
陽性・陰性の判断
・上側の下肢が水平よりも下方へ下がり、ベッドに接しないと陽性(大腿筋膜張筋の緊張)
注意点
- 股関節が内旋、屈曲するようであれば、腸脛靱帯が短縮している可能性があり、正確にテストされていません
- 大腿筋膜張筋はASISから起始するため、検査側寛骨が前傾していると、大腿筋膜張筋の伸長性を正しく評価できない
トーマステストと組み合わせて行うことでより股関節屈筋群の細かな評価が可能となりますので、こちらもぜひご視聴ください!
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目次
参考文献
1)Melchione WE, Sullivan MS. Reliability of measurements obtained by use of an instrument designed to indirectly measure iliotibial band length. J Orthop Sports Phys Ther. 1993 Sep;18(3):511-5.