“なんとなく”を脱却する骨盤評価の基本

クライアントの姿勢を見て「骨盤が前傾している」「骨盤が前方に変位している」と思ったとき、皆さんはどこを見てそう判断しましたか?
そしてその評価は、どんな観察・根拠に基づいていますか?

ピラティスやトレーニングの現場では、アライメントや動作評価は最初のカギです。しかし、評価が「なんとなくの印象」に頼っていると、その後の声かけやエクササイズ選択もブレやすくなってしまいます。

このコラムでは、立位での骨盤アライメント評価、前屈動作中の骨盤の動き、腹圧の観察、そしてエクササイズ中の評価の視点まで、実際の現場でそのまま使える評価ポイントを段階的に整理していきます。

「見た目の変化を、どう言語化して伝えるか」
「そのアライメントをつくっている筋は何か」
「どう評価し、どこを整えるか」

目の前の姿勢や動作を確信を持って“言語化”する力は、すべての運動指導のスタートラインとなりますので、一つずつ学んでいきましょう。

目次

静的評価:立位や仰臥位における骨盤の傾きと回旋

骨盤のアライメントを評価するとき、まず確認するのは静止姿勢における寛骨(左右の骨盤)の位置関係です。
とくに立位では、下記3つの要素を観察することが基本になります:

  1. 矢状方向の傾き(前傾/後傾)
  2. 前額方向の高さ(挙上/下制)
  3. 水平方向のねじれ(回旋)

こうした骨盤の「見た目の位置関係」を的確に読み取るには、以下のような骨指標の触診と視診の組み合わせが欠かせません。

観察の基本ランドマーク

ASIS(上前腸骨棘)

PSIS(上後腸骨棘)

恥骨結合

詳しいランドマークの復習は下記から↓

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ASISとPSISの高さで判断する「前傾・後傾」

前傾:ASISがPSISより下にある
 → 寛骨が前方に回旋している状態
 → 腰椎の前弯が強くなる(≒反り腰)

後傾:ASISがPSISより上にある
 → 寛骨が後方に回旋している状態
 → 腰椎の前弯が減り、屈曲気味になる(≒丸まり)

アライメントと筋バランスの予測

筋バランスを予測する際には基本として
骨盤の前傾=前傾筋の短縮、緊張、後傾筋の機能低下、伸長
骨盤の後傾=後傾筋の短縮、緊張、前傾筋の機能低下、伸長
といった解剖学に沿った筋の短い、長いを考えることが重要です。

骨盤前傾

過活動・短縮しやすい筋機能低下・伸長しやすい筋
・腸腰筋(股関節屈曲)
・大腿直筋(股関節屈曲+膝伸展)
・脊柱起立筋群(腰椎伸展)
・腹直筋、腹横筋(体幹屈曲、腹圧)
・内腹斜筋(特に下部繊維)
・ハムストリングス、大臀筋(股関節伸展)

骨盤前傾において注意したい点は、必ずしも腸腰筋の短縮や緊張があるわけではないということです。骨盤の前傾という動作自体は前傾筋が短くなりますが、重力の影響を考えると腸腰筋や大腿直筋は重力に従ったポジションとなります。
つまり、筋は収縮ポジションにあるけど、収縮しているのではなく弛緩している状態であることも可能性として考えられるということです。

そのため、骨盤の前傾の筋バランスを予測した後は必ず動作評価、エクサイズで確かめていきましょう。

骨盤後傾

過活動・短縮しやすい筋機能低下・伸長しやすい筋
・腹直筋(過緊張で骨盤を後傾)
・ハムストリングス(坐骨を引く)
・大臀筋(骨盤後傾・股関節伸展)
・腸腰筋(股関節屈曲)
・多裂筋(腰椎安定)
・脊柱起立筋(体幹伸展)

骨盤の後傾という運動と筋を結びつけると上記のように筋バランスを考えることができます。

もちろん高齢者では骨盤の後傾アライメントが見られ、修正が必要になることがありますが、ピラティススタジオやパーソナルジムではこの後ご紹介する骨盤の前方変位と混同していることがあります。

骨盤前方変位

  • 腰椎の前弯が少ない(フラット)
  • 骨盤が後ろに丸まっているように見える
  • お尻が垂れて見える
  • 骨盤上部が後方に倒れているような印象

これらの外観だけを見ると「後傾している」と判断しやすいですが、

アライメントをランドマークをもとに改めて構造的に評価すると

  • ASIS(上前腸骨棘)がPSIS(上後腸骨棘)よりも下にある
  • ASIS〜恥骨の線が前下方を向いている
  • 大腿骨頭より骨盤全体が前にある(前方変位)
  • 股関節伸展位(≒ロックされて後方へ引けない)
  • 重心が後足部に寄っている(ヒップシフト)

この場合、骨盤は実は「前傾+前方偏位」しています。

通常、骨盤が前傾すると腰椎の前弯も強くなるはずですが、腰椎がフラット化している場合(例:体幹が硬い・多裂筋が使えない)骨盤の「前傾」だけが進行しても、腰椎が伸展せず、骨盤が後傾しているように見えます。
もちろん腰椎が部分的に伸展している場合もあるため個別に観察が必要です。

そのため、純粋な骨盤の前傾後傾だけでなく前方変位が見られる場合は以下の点を確認しましょう。

評価ポイント解説
ASISとPSISの高さASISが下なら前傾の可能性大
腰椎の前弯の有無前弯がない=骨盤の動きと非連動
恥骨とのラインASIS〜恥骨の線が斜め下なら前傾
股関節の位置骨盤が股関節より前にあれば「前方変位」
姿勢全体のバランス上半身が後ろに倒れ、股関節が伸展気味なら要注意
過活動・短縮しやすい筋機能低下・伸長しやすい筋
・ハムストリングス(重心後方に引く)
・腹直筋(体幹屈曲)
・腸腰筋(前方支持)
・多裂筋、脊柱起立筋(後方引き上げ)
・大臀筋
状態よくある筋の傾向
多裂筋・腸腰筋の機能不全腰椎前弯を支えられずフラット化
大腿直筋・腸腰筋の優位骨盤を前傾+前方に引き出す
腹直筋の過活動 or 張力低下骨盤が丸く見える原因に

骨盤後方変位

骨盤が空間的に後方に移動すると、上半身(胸郭・頭部)とのバランスを取る必要があります。このとき上体を前方に置く(=上半身の質量中心が前)ことでバランスが取れるため、結果として骨盤が前傾して腰椎が過伸展することで、全体の重心が真ん中に戻ります。

脊柱と股関節には重力の影響で外部屈曲モーメントが発生しますが、体は転ばないように抗うため内部伸展モーメントが発生します。そのため以下にまとめたような筋バランスに陥りやすくなり、クライアントの主訴に合わせて個別に見ていくことが必要です。

過活動・短縮しやすい筋機能低下・伸長しやすい筋
・腸腰筋(骨盤前方引き込み)
・腹直筋(上部)
・ハムストリングス(骨盤支持)
・腹横筋、内腹斜筋(腹圧)
・多裂筋(骨盤支持)

前額面評価:骨盤の「挙上」「下制」

骨盤挙上は、片側の寛骨が上方向へ持ち上がるような動きであり、

観察では「片方の腰が高くなる」「ウエストのくびれが左右で非対称になる」などの見た目の違和感から評価を深掘りします。

  • 挙上:片側のASIS/PSISが反対側より高い
     → 同側の腰方形筋や中臀筋が過緊張している可能性
     → 骨盤の左右非対称性を示す
  • 下制:片側のASIS/PSISが反対より低い
     → 体幹や股関節周囲筋の機能低下
     → 中臀筋の遠心性収縮がうまく使えていない可能性

骨盤挙上に関与する主な筋

関与筋作用
挙上側(同側)腰方形筋(Quadratus Lumborum)骨盤を上に引き上げる(脊柱の側屈)
外腹斜筋(縦走線維)側屈・骨盤引き上げ補助
脊柱起立筋群同側への側屈に関与(補助的)
支持側(対側)中臀筋(Gluteus Medius)遠心性に骨盤の下制を抑制し、水平を保つ
内転筋群(Adductors)間接的に股関節内転を保ち、骨盤を引き上げる支持を担うことも

アライメントと筋バランスの予測

左骨盤が挙上しているとき(=左腰が高い)

  • 左腰方形筋が短縮または過活動
  • 右中臀筋が弱化、遠心性の制御力が弱い
  • 右股関節は外転しすぎて骨盤が落ちる→それを代償するため左側が引き上がる

骨盤の挙上が見られる主なケース

状況骨盤の挙上が起こる理由
歩行時の遊脚側支持脚の中臀筋の弱さにより、対側の骨盤が挙上することがある(Trendelenburg徴候の逆パターン)
片脚立位骨盤を支えようとして挙上側の腰方形筋が過活動しやすい
可動域制限股関節の外転・内転制限による代償
脊柱側弯構造的・機能的な側弯による骨盤の高低差が挙上に見えることがある

これらのアライメント情報をもとに股関節の内外転可動域の評価、筋力の評価、必要であれば側湾の可能性で病院の受診を勧めることが必要になりますね。

水平面で見る骨盤の「回旋」

  • 右回旋:右のASISが後ろに引かれているように見える
  • 左回旋:左のASISが後ろに引かれているように見える

また、隣接する関節の動きは以下のようにまとめることができます。

骨盤の動き腰椎股関節の動き(相対的)
左回旋相対的に右回旋左股関節:内旋
右股関節:外旋
右回旋相対的に左回旋右股関節:内旋
左股関節:外旋

アライメントと筋バランスの予測

骨盤が左回旋している場合の筋の活動をまとめると以下のようになります。

機能
骨盤の回旋● 左大臀筋(左寛骨の後方回旋)
● 右腸腰筋(右寛骨の前方回旋)
股関節の回旋● 左股関節:内旋筋群(中臀筋前部・小臀筋・大内転筋前部、大腿筋膜張筋など)
● 右股関節:外旋筋群(梨状筋・外閉鎖筋・大臀筋など)
体幹の回旋補助右外腹斜筋+左内腹斜筋

これらの筋活動はこの後ご紹介していく回旋評価で詳しく筋バランスを評価することができますので、まずはここまでで骨盤回旋アライメントに影響を与えている筋がどこなのかを覚えるようにしていきましょう。

骨盤と脊柱の関係:前屈評価から見抜く

まずは前屈という動作を分解してみましょう。

セグメント動き
骨盤前傾(寛骨前方回旋)
股関節屈曲(股関節が折りたたまれる)
腰椎軽度の屈曲
胸椎屈曲
重心やや前方へ移動するが、足裏に分散される

具体的に前屈では、約60度の股関節屈曲(大腿骨に対する骨盤)と同時に約45度の腰椎の屈曲が生じます。標準的な股関節全体の約50%に相当する一方、腰椎は屈曲可動域における約90%に相当します。前屈動作の初期25%においては腰部の屈曲がわずかに多く、後半の25%は股関節の屈曲がわずにかに多く生じます。

Esola MA, McClure PW, Fitzgerald GK, Siegler S. Analysis of lumbar spine and hip motion during forward bending in subjects with and without a history of low back pain. Spine (Phila Pa 1976). 1996 Jan 1;21(1):71-8. doi: 10.1097/00007632-199601010-00017. PMID: 9122766.

「腰椎骨盤リズム」

評価としてチェックするポイントは以下にまとめられます。

評価でチェックするポイント

1. 骨盤が前傾しているか?

  • 前傾が少ない/出ない股関節屈曲可動域の制限 or ハムストリングスの短縮 or 体幹筋群の弱さ
  • 代償的に腰椎が過剰に屈曲 → 腰に負担がかかる

観察法
・ASISとPSISの動き
・仙骨の傾き
・殿溝の上がり方やハムストリングスの張り具合

動画のようにPSISに触れながら前屈を観察することで骨盤の前傾の観察だけでなく、左右差による骨盤の回線や挙上を評価することもできます。

前屈を観察することで、アライメントで得られた筋バランスの考察を再確認するとともに左右での差を確認することができますね。


2. 腰椎の動きが多すぎないか?

  • 骨盤の動きが少ない分、腰椎だけで前屈しているパターンが多い
    → 腰椎の屈曲過多 → 腰痛リスク

3. 重心が後方に残っていないか?

  • 前屈時に重心が後ろに残る(踵側)と、骨盤が前に倒れにくくなる
  • 下肢後面の筋緊張が高い場合にも同様のパターンが見られる

もちろん下肢後面の筋には下腿も含まれるため、「足関節の背屈可動域」の評価も必須になります!


骨盤の動きが出ていない原因の分析

パターン主な原因筋なぜ?
骨盤が前傾しないハムストリングスの短縮・殿筋の硬さ骨盤の前傾を引き留める
骨盤がすぐに後傾する腹筋群が優位/多裂筋の弱さ骨盤安定力が弱く、腰椎屈曲で代償
腰椎が過屈曲股関節屈曲制限/ハムストリングス制限腰椎が代わりに屈曲してカバー
股関節伸展筋の柔軟性<脊柱伸展筋の柔軟性の関係(相対的柔軟性)

補足:骨盤のタイプ別前屈の見え方

骨盤アライメント前屈時の特徴
前傾が強い(反り腰)骨盤の前傾が目立ちすぎて、股関節の屈曲に頼る/腰椎屈曲が少ない
後傾タイプ(フラットバック)骨盤の可動が出にくく、腰椎の代償が目立つ
左右非対称片側の寛骨の可動が出にくく、骨盤が捻れる/側屈が混じる

腹圧と骨盤の安定性評価

ここまで骨盤と股関節をつなぐ筋の影響を見ていきましたが、先ほど「相対的柔軟性」という言葉が出てきました。

相対的柔軟性とは?

「相対的柔軟性(Relative Flexibility)」とは、
動きの中で、本来動くべき関節や部位よりも、柔らかい(=動きやすい)部位が先に動いてしまうことを指します。

Sahrmann, S. A. (2002). Diagnosis and Treatment of Movement Impairment Syndromes. Mosby.

つまり「そこが柔らかいから、先に動いて代償してしまう」という現象のことです。

腰椎における典型的な例

例:前屈動作

本来 → 骨盤が前傾し、股関節が屈曲
代償 → 腰椎が過度に屈曲して前屈してしまう

これは、ハムストリングスや股関節の柔軟性が低下しているため、腰椎が「相対的に柔らかく」動いて代償してしまうためです。
※この時ハムストリングスや股関節伸展筋の柔軟性が必ずしも低下しているというわけではありません。

結果として

  • 腰椎への剪断力・圧縮力が過剰にかかる
  • 椎間関節や椎間板へのストレスが増大
  • 長期的に見ると、腰椎の不安定性や慢性腰痛へとつながる

評価視点

  • 前屈やスクワットで「骨盤が動かないのに腰が曲がる」
  • ヒップヒンジで「股関節がたたまれず腰椎が主動になる」
  • ハムストリングスや腸腰筋の柔軟性に比べ、腰椎が先行して動いていないか?

という形で評価することができます。

この相対的柔軟性の評価は「これ!」といった特定のものではなく、股関節、骨盤、脊柱が関わるエクササイズであれば様々な環境で見ることができますね!


腹圧による骨盤・体幹の安定性評価

相対的柔軟性を改善するためには、伸張性が低下している筋を見つけることも重要ですが、腹圧により骨盤、体幹が安定しているかどうかも評価する必要があります。

腹圧(Intra-abdominal Pressure, IAP)は、体幹の“内側からの支え”として、脊柱と骨盤の安定に寄与します

腹圧のメカニズム

腹腔を囲む“圧力の壁”は以下の筋によって形成されます

壁の方向主な構成筋
上(天井)横隔膜
前・側面腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋
下(床)骨盤底筋群
後面多裂筋

これらが連動して働くことで、腹腔内に圧が高まり、脊柱や骨盤帯の安定を作り出します。

そしてこの腹圧は以下のように呼吸と連動していきます。

  • 吸気 → 横隔膜が下降、腹腔が膨らみ腹圧が上昇
  • 呼気 → 腹横筋・骨盤底筋が求心的に収縮し、腹腔を引き締めることで圧が維持される

→ この「吸って広げて、吐いて支える」メカニズムが体幹の安定性に直結します。

正常な腹圧機能は

  • 骨盤をニュートラルに保つ
  • 仙腸関節のロック(Force Closure)を得る
  • 腰椎の剪断ストレスを抑え、安定した支持力を発揮

につながります。

🔸 腹圧評価の方法

1. 視覚・触診による評価(仰臥位または座位)

  • 肋骨下部に手を添えた状態で、吸気時にお腹が360°膨らむか?
  • 呼気で圧を保つことができるか、腹直筋が過剰に収縮せずに行えるか?

2. ブレス・プレッシャーテスト(Blood Pressure Cuff法)

仰臥位で腰椎の下に血圧計や空気圧センサーを入れ、デッドバグなど動作中に圧力が安定するかをチェックする方法です。

Hodges, P. W., & Richardson, C. A. (1997). Contraction of the abdominal muscles associated with movement of the lower limb. Physical Therapy, 77(2), 132–142.

Richardson, C. A., Hodges, P. W., & Hides, J. A. (2004). Therapeutic Exercise for Lumbopelvic Stabilization: A Motor Control Approach for the Treatment and Prevention of Low Back Pain.

血圧計や空気圧のセンサーを導入するのは難しいため、代替案としてクライアントの腰に指導者が手を入れる形や、タオルをいれ、指導者が引っ張るのに耐えられるのかという評価方法を活用することができます。

参考↓
インプリントポジションで圧を手に加えながら呼吸や動作を行うことができるか確認。
腹圧が弱い → 反り腰・腰椎浮き/腹直筋主導で代償

腹圧が弱いと

  • 骨盤が過前傾 or 過後傾
  • ヒップリフトやスクワットで骨盤・腰椎が不安定になる
  • 特に、仙腸関節がカチッとはまらず、ロックが外れやすい

仙腸関節の具体的な例はこちらから

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エクササイズ中にどう観察するか

では、最後に応用として、エクササイズ中における骨盤と体幹の動き・安定性を評価する視点を整理していきます。

これは、アライメント評価(静的)から機能評価(動的)への応用であり、パーソナルトレーナーやピラティスインストラクターが、現場で使える“見る力”を高めるための実践的視点です。

骨盤の前傾・後傾を評価する

評価ポイント

  • 骨盤の動きと腰椎カーブの連動(前弯の強調 or 消失)
  • ASIS(上前腸骨棘)とPSIS(上後腸骨棘)の相対的位置関係
  • 股関節の動き vs 骨盤の代償的動き

推奨エクササイズ

エクササイズ評価の視点
ペルビックティルト(仰臥位)骨盤単独での前傾・後傾の可動性、コントロール力
ヒップヒンジ(立位または四つ這い)骨盤が腰椎の代償を伴わず前傾できているか
ロールアップ(仰臥位)骨盤後傾のコントロールができているか、腹筋主導か

骨盤の挙上・下制を評価する

評価ポイント

  • 片脚荷重時の骨盤水平の維持
  • 中臀筋と内転筋の協調性
  • 腰方形筋の活動による代償の有無

推奨エクササイズ

エクササイズ評価の視点
ステップアップ・ランジ骨盤が傾いていないか、骨盤の水平保持
サイドプランク+脚挙上骨盤が挙上方向に安定しているか
シングルレッグスタンス骨盤が下制していないか(トレンデレンブルグ徴候)

骨盤の回旋を評価する

評価ポイント

  • 骨盤と胸郭の分離可動性
  • 股関節の内外旋に伴う寛骨の回旋
  • 左右差の有無・腰椎回旋の代償

推奨エクササイズ

エクササイズ評価の視点
スパインツイスト(座位)寛骨が動かず、体幹が分離して回旋できるか
クラムシェル(横臥位)股関節の外旋運動中に骨盤が回旋していないか
ローテーショナル・ランジ寛骨と体幹が別々に動いているか、連動性の観察

体幹・骨盤の安定性(腹圧・インナーユニット)を評価する

評価ポイント

  • 腹圧が維持された中で四肢が動かせるか
  • 過剰な代償(腰椎過伸展・骨盤の動揺)が起きていないか
  • 呼吸と腹部のテンションの連動性

推奨エクササイズ

エクササイズ評価の視点
デッドバグ四肢を動かしても骨盤・腰椎が安定しているか
バードドッグ骨盤が回旋・沈み込みしていないか
ヒップリフト、レッグローワ腹部360°の拡張・収縮が適切にできているか

これまでなんとなく行っていたエクササイズや、違う目的で行っていたエクササイズも実は、優秀な腰椎骨盤帯の評価方法としても活用できるということがお分かりいただけたと思います。

是非この視点を現場で活用してみてください!

次回は、今回後紹介したエクササイズによる評価から、骨盤の安定性を向上するエクササイズへとより実践的な内容をお送りいたします!

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